走査型トンネル顕微鏡の発明から25年が経過しましたが、走査型プローブ顕微鏡(SPM)技術は現在も急速な発展を続けており、その成果の産業応用に至って今後ますます拡張を遂げるものと予想されます。そこで、本委員会がこの分野の学術、技術、応用の進展を予測し、広く一般に指針を与える役割を担うことを目的として、SPM技術のロードマップの取りまとめを世界に先駆けて行いました。
本委員会委員を中心に委員外の研究者、技術者をも加えた「ロードマップ作業部会」を組織し、作業部会各メンバーが自分の専門領域を担当するとともに、通常の研究会とは別に会合の機会を設けて統一的にまとめ、2000年に世界で初めてとなる「走査型プローブ顕微鏡のロードマップ2000」を刊行しました。本書の特徴は、それぞれの技術や応用について、20-30年後の状況までを予測していることです。それ以降、原子間力顕微鏡の分野を始めとした各分野で、このロードマップを凌駕する速さで進歩発展が加速しており、ロードマップの作成が少なからず刺激を与えた結果と考えております。
前回ロードマップから5年が経過した2005年末、前回のロードマップの進行状況を検証して、再度のロードマップ作成を目指した「走査型プローブ顕微鏡のロードマップ2005」を刊行し、2006年3月の第53回応用物理学関係連合講演会にて、出版記念公開シンポジウムを行いました。前回のロードマップにより、日本のSPM研究・開発と応用は急速に加速して、日本を世界のトップに押し上げつつあります。本委員会では、これをさらに加速するとともに、日本発の世界標準となるSPMロードマップの作成を目指して、2006年5月にはSpringer社より、初の英語版のSPMロードマップとなる「Roadmap 2005 of Scanning Probe Microscopy」を出版し、また2006年7月には国際会議にて出版記念公開シンポジウムを開催しました。
これらロードマップの内容は、丸善(株)、Springerから出版されております。このたびウェッブ公開を想定したロードマップを新たに編纂し、2012年1月から本ホームページにおいて順次公開していくことといたしました。編纂と公開に要する経費の一部は、(社)日本工業倶楽部から独立行政法人日本学術振興 会事業推進のための「学術振興特別基金」へ寄せられた厚志のなかから充てさせていただきました。(社)日本工業倶楽部に対し感謝申し上げます。
走査型プローブ顕微鏡のロードマップ
(2017.8.3公開開始)
(2015.4.6公開開始)
(2013.10.24公開開始)
(2013.1.8公開開始)
(2012.3.22公開)